欧米フレキソビジネスの躍進

フレキソ印刷パッケージは北米および欧州で急激な発展をしており、現在全パッケージの60~70%がフレキソで印刷されています。ドイツでは80%超、アメリカでは70%以上のパッケージがフレキソ印刷です。日本はわずか4%です。欧米がフレキソ印刷にシフトするその要因は環境なのか…、それだけではありません。欧米先進国でフレキソ印刷がパッケージで成功しているのは下記のような事情があります。

1.印刷媒体

フレキソは凸版で印刷されるため、印刷媒体(フィルムや紙)の平滑性をさほど重視しません。
そのため再生紙や再生フィルムに印刷することが可能で印刷媒体を含めた環境性やコストを追求することができます。

2.環境性

フレキソインクは速乾性のため印刷乾燥工程に大きなエネルギーと時間を要しません。インラインで後加工を施すことが出来て省人化ができます。またインクの面積当たりの使用量は他の印刷方式に比べて半分以下の消費となります。インク中の少量使用溶剤はアルコールベースのものが多く印刷現場のオペレータ環境が非常に優しいです。

3.生産性

近年量産品は減る傾向にあり小ロット多品種の傾向が強くあります。極小ロットはデジタル印刷機が適しています。最新のフレキソ印刷機は小ロット対応しているものが多く、ダウンタイムを少なくするテーマで機械設計されています。ジョブ替えが非常に早く刷りだし早々から良品が出来て生産性に優れています。

4.印刷精度

フレキソ印刷の精度は他の印刷方式と比べて10年ほど前はずいぶんと粗く見劣りしていました。近年高品質の樹脂版、それをコントロールできるソフトウエアやハードウエアが整い、インクの改良も革新的に進み、印刷機はサーボモーターや自動調整機能搭載で見当合わせや印圧調整が簡単になりました。これらに伴いフレキソ印刷は以前と見違えるほどの印刷品質を有しています。オペレータの取扱いも年々簡単になってきています。

5.欧米トレンド

欧米のパッケージはフィルムから紙化があらゆる分野で進んでいます。メーカーが出荷するパッケージ総量の一定割合以上が紙でない場合には賦課金が課せられる国も増えてきています。紙では水性インク・UVインク、フィルムでは溶剤インク・UVインクが使用されていることが多い状況です。印刷現場で使用できる溶剤も限られてきており環境面においてはフレキソ印刷しか選択肢がないシーンも多く出てきています。極小ロットはデジタル印刷でそれ以外はフレキソ印刷がトレンドです。

6.コメント

いまやパッケージ印刷手法も環境や生産性を最重視している中で欧米はもとよりアジアの中でも日本のフレキソ印刷パッケージは取り残されている状況です。
SDG’sの観点で商材が選定される世の中で、日本メーカーが世界のスタンダードに合わせて行かないと、今後輸出品などに問題が出ないか心配です。